2016.06.24
「旬のみつばち話・ハチミツの糖度について・蜜源ってどんな花」 みつばち通信 2016年5月
写真:首里城公園のシャリンバイとミツバチ(2016年3月末頃撮影)
旬のみつばち話
今年は、2月の長雨と日照不足から蜂群の立ち上がりが遅く、
シロバナセンダングサやへアリーベッチなどの蜜源も3月に入ってから開花が始まりました。
それと、例年春に見られるノアサガオが今年はあまり見られません。
4月には、いつもの年より早めにオキナワシャリンバイが一斉に開花しました。
ところが蜂の訪花が弱く、どうやら蜜はあまり噴いていない様子でした。
わたしの個人的な観察では、ここ2~3年野山の木々の開花時季や咲き具合が、
年間を通して狂っているように感じます。
花は大量に咲くのに、時期がずれているせいで、蜜を噴く力が弱いのです。
「花は咲けども実りなし」といった感じでしょうか。
やはりこれも気候変動の影響と考えると、ちょっと気になります。
ミツバチたちも混乱しているのか、今年のハチミツは4月も終わりごろになってから、
ようやく貯蜜にフタがされ始めました。
4月の試験採蜜で糖度は77.5度、5月の梅雨入り後は78度になったので、
ようやく晴れ間に合わせて採蜜を始めました。
いつもより遅い採蜜で野に咲く花々のバランスも例年とは違うようで、味の特徴がそれぞれ変わっています。
そういった違いも含めて春の蜜を味わっていあただけたら幸いです。
ハチミツの糖度について
ハチミツは花蜜からできています。
甘味の成分はブドウ糖と果糖です。
花蜜の甘さ指数(糖度)は大体20~50度ぐらい、
それをみつばちが貯蜜過程で、糖度80度前後に濃縮します。
わたしは屈折率で糖度を測る手持屈折計を使って、はちみつの糖度を測っています。
そもそも、糖度という単位はなにか? というと、糖分の甘さの単位で、
度というのは%におきかえることができます。
例えば糖度78度とは糖分が78%ということで、のこり22%は水分です。
しかし、その78%の糖分を実際に砂糖で作ってみるとどうでしょう。
例えば、実際に78グラムの砂糖に22グラムの水を入れてかくはんしてみます。
なかなか砂糖は液体状になってくれません。
それほど、相当に濃いことがわかります。
蜜源ってどんな花
西洋ミツバチはもともとアフリカの草原生まれなので、野原の花が大好きです。
もちろん木々の花も好きですが、個人的な観察からは、野の花の方により多く訪れるような気がします。
よく人から、
『沖縄はハイビスカスが年中咲いているからミツバチは安心ですね。』
といわれます。
しかし、残念なことにミツバチはハイビスカスには興味をもちません。
顕花植物は子孫を残す戦略として花を咲かせます。
では、その花は誰に向かって咲いているのか? というと、
受粉という植物にとって大事な仕事を誰が手伝ってくれるのかというのが最大の問題になります。
そこで、植物は風や鳥、昆虫、なかでも蝶やハエ、そしてミツバチ、それぞれに特化した相手を選んで花を咲かせます。
ある人が『花は人間を楽しませるために咲いている』といっていましたが、
それはまた次元の違う話で面白いのですが、間違いなのです。
では、花の形からいってミツバチの好きな花は? といえば、
ミツバチの口吻というベロのような蜜を吸う器官が蜜壺に届く花の形が好きなのです。
さきほどのハイビスカスについていえば、蝶の口にあう壺の深い形の花といえます。
そうやって花を眺めると、花の形が面白く見えます。
そんな事をミツバチ目線で眺めてみては、いかがでしょうか。
執筆者 仲村養蜂 仲村忠明